
両親が他界して空き家となった不動産を相続しました。私は別に家があるので、その空き家に住む予定はありません。売却したり誰かに貸したり、いろいろ活用する方法はあるとは思いますが、仕事が忙しいのもあり、まだどうするか決めていません。世間では空き家放置が問題となっていると聞きました。空き家を放置するとどのような問題が起こるのでしょうか?
という質問に答えます。
今回は、「空き家を放置することで起こる問題について」です。
空き家を放置することで起こる問題とは?
空き家を放置すると「建物の問題」と「法律的な問題」の2つが起こります。
建物の問題としては、次のようなことが起こります。
- 建物の腐敗・崩壊
- 設備破損による臭気の発生
- 害虫・害獣の発生(シロアリなど)
- 立木の繁茂
- 景観の悪化
この他にもありますが、よくあるのはこの5つです。
どれか一つ起こっただけでも所有者として対処しないわけにはいきません。
建物は人が住まないとダメになる
聞いたことある方もいると思いますが、建物は人が住むと長持ちします。
でも逆に言うと、人が住まない家は老朽化が早まります。
これには理由があって、人が住まない家は空気の入れ替えが行われません。
なので、臭いや湿気がこもります。
家に使われている木材は、湿気に弱いので腐敗が進みます。
これだけでも老朽化は深刻な問題となっていきますが、これに加えて湿気が多いところは「害虫」が好みます。シロアリなどが発生すると一気に建物はダメになります。
その結果、景観も悪くなりご近所さんにも迷惑をかけることになります。
ご近所の不安
私が行政書士業を営んでいる事務所の近くにも、管理されていない空き家があります。
市区町村役場でも、何らかの指導はしているようですが対応は遅れているようです。
少し強い地震でもあったら崩れてしまいそうで怖いです。
管理されていない老朽化した空き家は、ご近所さんが不安に思います。放置している所有者は、ご近所さんの気持ちになって、大きな問題にならないうちに対処することをおすすめします。
空き家を放置すると損害賠償されるケースもある

放置した空き家が崩壊して、通行人や近所の人に怪我をさせてしまうと高額な損害賠償を請求されることがあります。
住んでいないとは言っても、建物の所有者は責任を取らなければなりません。
実際に、放置されていた空き家の外壁が落ちて通行人が大怪我…。
高額の損害賠償請求された事例もあります。
空き家対策特別措置法(空き家等対策の推進に関する特別措置法)
法的な問題としては、平成27年に施行された『空き家対策特別措置法(空き家等対策の推進に関する特別措置法)』という法律が関係します。
この法律では、空き家のうち、放置することが保安上危険、著しく景観を損なう、衛生上有害、放置することが不適切であるなどの建物を「特定空き家」と認定することができます。
市町村長は、特定空き家等の所有者に対して助言、指導、勧告ができ、それに対して一定期間内に所有者が必要な措置をとらなければ「固定資産税の住宅用地特例」の対象から除外され、税金の軽減がされなくなります。
さらに強制撤去(行政代執行)されて、解体費用を請求されることもあります。
固定資産税の住宅用地特例とは?
固定資産税の住宅用地特例とは、次のように固定資産税が軽減される特例です。
- 小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は6分の1
- 一般住宅用地(200㎡を超える部分)は3分の1
特定空き家になって、この特例が受けられなくなると固定資産税が6倍になります。
空き家を放置している所有者は、早い段階で対応しないと状況は悪くなる一方です。