今回は、「配偶者短期居住権」について書いていきます。
以前、「配偶者居住権」についても書いていますので、こちらも参考にしていただければと思います。
≫配偶者居住権の成立要件を分かりやすく解説【所有者の承諾を得なければできないこと】
今回は配偶者「短期」居住権ですので、お間違えのないようにしてくださいね。
- 配偶者短期居住権の成立要件とは?
- どういった効果があるのか?
- 配偶者短期居住権が発生しないケースは?
などの疑問に答えていきます。
配偶者短期居住権の成立要件
被相続人(亡くなった人)の配偶者が、被相続人の所有していた建物に、被相続人が亡くなった時点で、無償で住んでいたことが配偶者短期居住権の要件となります。
それほど難しい要件ではないので、権利を主張することができる配偶者も多いのではないかと思います。
建物に「有償」で住んでいた場合
要件の「無償」という部分ですが、逆に「有償」だった場合どうなるのか?
この場合は、配偶者短期居住権は成立しません。
有償とはどういった場合なのか?
これは賃貸借契約等を想定しています。
なので、単純に賃借人を変更したり、賃貸借契約を更新したりすれば、配偶者は住んでいた建物に住み続けることができます。つまり、配偶者短期居住権を発生させる必要がないのです。発生させなくても配偶者に不利益がありませんからね。
配偶者短期居住権が発生しないケースとは?

上記のように、配偶者短期居住権の要件に該当しないほか、そもそも権利が発生しないケースもあります。
それは、相続開始時(被相続人が亡くなった時)に、配偶者居住権を取得していた場合などです。配偶者居住権を取得しているので短期の方は発生させる必要がありません。
また、そもそも相続人としての権利を失ってしまっては、配偶者短期居住権で保護する必要がなくなります。相続人の欠格事由や廃除がそれに該当します。
これらの場合は、配偶者短期居住権は発生しませんので注意です。
配偶者短期居住権の効果
上記で説明した配偶者短期居住権の成立要件を満たすと、その配偶者は、居住して建物に無償で一定期間住み続けることができるようになります。これが効果です。
「一定期間」と書きましたが、その期間は次の2つのどちらか「遅い日」までです。
- 遺産分割によって建物の所有者が決まった日
- 相続開始から6ヵ月を経過した日
配偶者短期居住権は譲渡できない
配偶者短期居住権は譲渡できません。譲渡とは、権利を他人に譲り渡すことを言いますが、そういったことは認められていません。
ちなみに、配偶者短期居住権は、配偶者居住権と違い「登記」することはできません。2つの権利の違いのひとつです。善管注意義務を負う点については、配偶者居住権と同じです。
こちらの記事も参考になると思います。
≫【相続】配偶者居住権の設定登記の効果とは?【誰が登記申請をするのか?】
≫【相続】「配偶者居住権」と「配偶者短期居住権」の違いについて分かりやすく解説
それでは、また!
ありがとうございました。