「法定相続とは違った相続にするにはどうすればいいのか?」
「法定相続でいいなら、遺言をする必要はないのか?」
自分の相続について考え始めると、こんな疑問が出てくることもあると思います。
今回は、これらの質問について答えていきます。
そのほか、行政書士として実務をしていると、よくされる質問もご紹介します。
法定相続とは違った相続にするにはどうすればいいのか?
日本の法律は、遺言書がないと法定相続による遺産分割となってしまいます。なので、法定相続とは違った相続をさせたい場合は、遺言書を作成するしかありません。
遺言書を残すも残さないのも自由ですが、遺言書には法定相続とは違った相続をすることが可能なうえ、次のような効果もあります。
- 相続人間の争いを防ぐ
- 死後の遺産分割手続きをスムーズにする
遺言書に書き忘れた財産
上記の質問に加えて、実務をしていると「遺言書に書いていない財産は、どういう扱いになるの?」と聞かれることがあります。
遺言書に書き忘れてしまったり、遺言書を作成した後に新たに財産が増えたりと、遺言書に書いていない財産が出てくることは珍しくないです。
そんな時、どう遺産分割されるのか?
日本の法律では、その部分については法定相続になります。
遺言書に書いてある財産については、遺言書の通りに。
遺言書に書いてない財産については、民法で規定されている法定相続通りになります。
法定相続だと、どんな感じで遺産分割されるのか?
民法で定められている法定相続は「公平なもの」です。
被相続人との関係性を考慮したうえで、最適だと思われる遺産分割がされます。
法定相続でいいなら「遺言」をする必要はないのか?

法定相続は、日本の法律が適用されるすべての人に対して作られたものなので、誰にでも適用できるように「相続する割合」だけしか決めていません。
なので、土地や建物、預貯金などの具体的な財産を、誰が相続するかまでは決められていません。遺言書がない場合、そういった内容は「遺産分割協議」で決めることになります。
法定相続によって、誰がどの財産をどの割合で相続するかまで詳細に規定されているのであれば、遺言をする必要もないのかもしれませんが、実際にそれは不可能です。なので「法定相続でいい」と思っても遺言は書いたほうがいいです。
遺言書を作成すると
こういった思いも実現させることができます。
- 長年連れ添った配偶者に、住んでいた家を相続させてあげたい
- 面倒を見てくれた次男に遺産を多く残したい
遺言書がないと遺産分割協議なります。
その場合、配偶者が引っ越しを迫られたりする可能性が出てきます。
遺言(ゆいごん)と遺言(いごん)の違い
遺言(ゆいごん)と遺言(いごん)の違いについて。
これも、よく聞かれます。
過去に、このブログでも取り上げていると思いますが、念のためもう一度。
- 遺言(ゆいごん):死後に残す言葉のこと
- 遺言(いごん):法律上の制度のこと
遺言(いごん)では、遺言者が自分の財産をどう処分するのかを決めることができます。法律上様々な規定が設けられているので、それに従って遺言をすれば、自由な遺産分割を実現することができます。
弁護士や行政書士などの専門家との会話のなかで、「遺言(いごん)」という言葉が出てきても読み間違えているわけではないです。