最近「終活」という言葉を、よく聞くようになりましたよね。
そのひとつとして、遺言書を作成する人も増えているそうです。
今回は、遺言書作成のひとつの選択肢である「自筆証書遺言書保管制度」について、メリットやデメリットを分かりやすく解説していきます。
次のような方にも、ぜひ読んで欲しい記事です。
遺言書を作成したいけど、時間や費用をあまりかけたくない方。
自筆で遺言書を書いたものの、不備で無効になるのが心配だという方。
遺言書は、遺言者の死後に、誰にどのくらいの財産を譲り渡すか決めることができる法的な効果を持つものです。自分の意思を実現させるためにも、作成をおすすめします。
自筆証書遺言書保管制度のメリット
自筆証書遺言書保管制度とは、自分で作成した遺言書を公的機関である「法務局(遺言書保管所)」が預かってくれる制度です。
この制度を利用するメリットとしては、次のようなものがあります。
- 遺言書の紛失や改ざんの防止
- 不備がないか確認してもらえる
- 相続人への通知してもらえる
- 検認が不要
順番に説明していきます。
遺言書の紛失や改ざんの防止
自筆証書遺言では、紛失や改ざん、相続開始後に遺言書が発見されないなどの問題がありました。
こういったことがあると、せっかく作成した遺言書も意味がないものになってしまいます。
自筆証書遺言書保管制度を利用すると、遺言書を法務局が保管してくれるため、このような問題は起こらなくなります。
不備がないか確認してもらえる
自筆証書遺言書では、不備により遺言書が無効になってしまうことがありました。
自筆証書遺言書保管制度を利用すると、法務局で遺言書の形式的な確認をしてもらえるので、不備が原因の無効ということがなくなります。
注意点としては、この確認は有効性を保証するものではないという点です。
法務局は、そこまで責任を持ってはくれません。
相続人への通知してもらえる
遺言者の死後に、遺言書を保管していることを相続人に通知してもらえます。
相続人は、法務局(遺言書保管所)で手続きをすることにより、遺言書の内容を知ることができ、交付される書類で相続手続きをすることができます。
検認が不要
自筆証書遺言書では、家庭裁判所の検認が必要となります。
しかし、保管制度を利用すると、家庭裁判所の検認が必要なくなります。相続人にとって検認の手続きはかなりの負担になるので、これがなくなるというのはメリットとしては大きいです。
ちなみに上記に書いた4つのメリットのほか、自筆証書遺言には保管制度を使わなくても次のようなメリットがあります。
- 1人で作成することができる
- 時間や費用を抑えることができる
- 自由度が高い
自筆証書遺言書保管制度のデメリット

次のようなデメリットがあります。
- 法務局に行かなければならない
- 手数料がかかる
順番に説明していきます。
法務局に行かなければならない
自筆証書遺言書保管制度を利用するには、遺言者本人が直接法務局(遺言書保管所)に行かなければなりません。
代理人に任せることもできませんし、郵送を利用することもできません。
自宅で保管する自筆証書遺言書とくらべると、法務局に行かなければならいぶん手間がかかります。
手数料がかかる
自筆証書遺言書保管制度は、無料で利用できるサービスではありません。
法務局(遺言書保管所)に手数料を支払う必要があります。
この記事を書いている時点で、保管手数料は3,900円です。
公正証書遺言とくらべれば全然安いですが、自筆証書遺言が本来無料で作れることを考えるとお金がかかるぶんデメリットとなります。