行政書士で食えるのか?仕事があるのか?
独立してもすぐに廃業になるのでは?
行政書士を目指している人や、興味のある人に多い疑問です。
今回は「食えるか?」のテーマで。
この手の質問は、開業前後によく聞かれました。4年目の現在も質問されることがあります。それだけ行政書士に興味を持ってくれていると前向きに答えてますが、ただ単に心配されているだけかもしれません。笑
食えない資格と言われている理由
理由としては、こんな感じです。
- ネットでのうわさ
- 同業者が多い
- 廃業者が多い
- 仕事が少ない
- 顧問契約がない
それぞれ説明していきます。
ネットでのうわさ
ネットでは、行政書士が食えない資格だと散々言われています。
でも、ネット上の話は、行政書士でない人が、聞いただけの話を無責任に語ったり、廃業した知り合いの廃業理由を、勝手に想像して書いているだけのものもあり、信ぴょう性がありません。
同業者が多い
「行政書士という仕事をしている同業者が多い」という点。たしかに多いですね。これは否定できません。
司法書士や社労士よりも多いです。
コンビニの数より多いなんてことも言われてます。
廃業者が多い
廃業する人が多いのも事実。
でも、これに関しては、どの業界も同じようなものかと。
行政書士は、飲食店などと比べて開業資金が安く済むで、開業しやすく廃業しやすい資格なのかもしれません。
仕事が少ない
仕事が少ないとも言われています。
これについては、間違ってます。本人の努力しだいです。
行政書士の扱える書類は、一万種類とも言われています。仕事がなければ、自分で新規開拓することも不可能ではありません。
それに、相続や遺言など、他の士業と共通で扱える仕事もあります。現在、他の士業に流れている業務を、努力しだいで獲得するとことも可能です。
顧問契約がない
行政書士は、税理士や社会保険労務士のように「顧問契約」がほとんどありません。
顧問契約とは毎月顧問として顧問料をいただける契約です。
事務所経営を安定させるという意味では、顧問契約はあれば安心できます。
でも、行政書士業務のなかにも、ある程度顧問契約に近いような一定期間内に一定の収入が見込める業務もありますので、安定を求めるならそういう業務を中心にやればOKだったりします。
行政書士が食べていける理由

私自身は、行政書士を5年近くやってきていますので、行政書士で十分に食べていけると思っています。その理由として下記の通り。
- 他の士業より相談がしやすい
- 認知度・知名度が高い
- AIには処理できない複雑な仕事がある
こんな感じです。
他の士業よりも相談がしやすい
行政書士は、弁護士よりも相談がしやすいと言われています。
仕事柄、弁護士の先生と話す機会がありますが、皆さん気さくで、敷居が高いような怖いイメージはまったくないのですが、あまり関わりのない人からすると、そういったイメージなのかも。相談料の高さが原因かもしれませんが…。
でも、このおかげ?かは分かりませんが、法律関係の相談をよくされます。
話を聞いてみると、弁護士や司法書士、社労士の業務だったりするので、仲の良い他士業の先生を紹介するのですが、行政書士は相談されやすい資格というのはありがたいです。
業務につながらないとしても、自分扱える業務の依頼がくる可能性を高めとくことができます。相談のしやすさを印象づければ仕事を確保しやすくなります。
認知度・知名度が高い
行政書士も昔と比べると認知度や知名度がだいぶ高くなりました。行政書士を主役としたドラマの影響ですかね?まぁ、理由はどうあれ、認知度が高いと信用してもらいやすくなります。
何らかの会社を立ち上げたとしても、一からお客さんの信用を築くには相当な時間がかかりますが、行政書士は認知度のある国家資格ということで、最初からある程度の信用を確保できるのです。
これはビジネスにおいて、大きなメリットです。
AIには処理できない複雑な仕事がある
行政書士の仕事は、本来一般の人が官公署に提出する書類を、代わりに作成・提出するだけの仕事と思われがちですが、そんな簡単なものではありません。
書類を作って申請するという依頼のなかにも、専門知識がないと処理できない複雑なものもあります。
少しまえに、AIの発達で「廃業する行政書士が増えるのではないか?」という噂がありましたが、AIが発達しても処理ができないような難しい業務もあるので、それほど心配する必要もありません。
行政書士として食えるようになる為には?

当然ですが、行政書士も何もしないと食えない資格です。
弁護士でも廃業する時代ですからね。でも仕事はあります。
食べていくには、開業前後でやるべきことがあります。
開業前にやること
- 貯金(開業資金・運営資金)
- 人脈づくり
- 営業・マーケティングの勉強
- 補助者求人を探す
貯金(開業資金・運営資金)
事務所運営には、お金も重要です。開業資金は当然として、事務所の運営資金を確保することも必須です。
会社員やアルバイト・パートをしながらという人もいますが、よほど強い意志がないと難しいです。仕事の疲れで何かと先延ばしになる危険も。
人脈づくり
人脈は多いに越したことはありません。開業前に広げられるだけ広げといて損はありません。
開業セミナーなどに参加してもいいと思います。
いつか人脈に助けられる日がきます。
営業・マーケティングの勉強
行政書士といってもサービス業なので、営業やマーケティングの勉強は必須です。
「先生」と言われてることで調子に乗って、営業しないと廃業です。
これは私も後悔…。
先生と言われて調子に乗ってはいませんでしたが、開業するときは開業のことで頭がいっぱいで、営業やらマーケティングなんて気にもしていませんでした。
開業後の忙しいさなか勉強するはめに…。
皆さんは、事前に勉強がんばってください。
行政書士補助者の求人を探す
私のように実務経験なしで、いきなり開業するのもひとつの手ですが、できれば開業前に実務経験を積むことをおすすめします。
やはり実務経験なしの開業は不安です。ほとんど募集はないですが、チャンスがあるなら応募するべきです。希望の業務と違くても良い経験になります。
開業後にやること
- 人が集まるところに参加する
- 営業・集客
- 法律改正・制度改正をチェック
- 実務の勉強
人が集まるところに参加する
人が集まるところに参加すると、人脈と仕事が生まれます。行政書士会の研修や、支部の勉強会など、なんでもいいです。
開業したなら、人の集まるところには必ず参加するべきです。
参加していない行政書士の先生も多いですが、それは兼業か、バリバリ仕事しているか、行政書士という名前だけ欲しかったという先生です。
営業・集客
営業や集客は、仕事やプライベート関係なく絶えず考えなくちゃいけない問題です。
よく何らかの営業をする前に、ネットで検索して効果を判断する人がいますが、これは間違い。とりあえず、やってみることが大切です。
タイミングや地域によって、効果は全然違いますから。
ネット情報を信じすぎて行動しないのはダメです。
法律改正・制度改正をチェック
自分が取り扱いと思っている業務の、法律改正や制度改正は必ずチェックです。依頼の有り無しに関係なく、情報取集をしておくことが大切。
所属している行政書士会から会報が出ます。
法律や制度の改正は、いち早く行政書士会が入手しているので、会報には必ず目を通す習慣をつけましょう。
実務の勉強
自分が専門としたい業務の勉強は、行政書士である限り続けましょう。関連する情報は必ずチェックです。
最近は、行政書士の実務について詳細に書かれている書籍など増えてきました。関係する官公署のホームページをパソコンに登録しておくことも大切です。
あと、行政書士の業務範囲はとても広いので、他の分野を経験するのもよい経験になります。
これからの行政書士に求められること
- コンサルティング能力:コンサルティングを前提にした依頼の増加。
- 業務の専門特化:収入の安定、仕事の効率化、ノウハウ蓄積、紹介増加。
- 安売りをしない:薄利多売では事務所運営は長続きしません。
まとめ
「行政書士で食えるか?」の質問について、行政書士4年目の経験から「食える!」と断言できます。ただ、行政書士という資格の名前だけでは、何の役にも立ちませんし、今の時代では絶対に生活できません。
専門業務に精通すること。マーケティング能力を身につけること。などの努力は必須です。どこの業界でも競争はあります。食えるか?食えないか?は、経営者の努力にかかってます。
ちなみに、行政書士がダメなら、社労士や司法書士の資格を取得しょうとする人がいますが、「行政書士で成功しないなら、どの資格を取得しても失敗する」と言われていますので注意です。