大切な人が亡くなった時の相続手続きを「自分でやりたい」という方も少なくないと思います。専門家に頼むと、結構な費用がかかりますからね。
このページでは、相続手続きに必要となる「戸籍謄本」の取り方について解説します。
- 誰の戸籍謄本を、どうやって取得するのか?
- どこまでの範囲の戸籍謄本が必要なのか?
こういった疑問に答えていくほか、戸籍の種類や有効期限、必要枚数なども説明もしていきます。
相続手続きには期限があるものが多いので、戸籍の収集は早めに取りかかることをおすすめします。
相続手続きに必要な戸籍謄本の取り方
相続手続きで戸籍謄本が必要なものとしては、次のようなものがあります。
どれも重要な手続きです。
- 不動産の相続登記
- 銀行の預貯金等の名義変更
- 相続税の申告
代表的なものを3つ書きましたが、このほかにも「遺言書の検認」や「相続放棄」などする場合にも戸籍謄本が必要となります。
ちなみに、不動産の相続登記で必要となる戸籍謄本には、有効期限がありませんので、覚えておくと戸籍を取り直すなどの無駄を避けることができます。
誰の戸籍謄本が必要なのか?
相続手続きでは、
- 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
基本的に、この2つが必要となります。
戸籍を集めることで、相続人を確定させるためです。
当初予定していなかった相続人が現れることも珍しくはありません。
相続人が亡くなっていた場合は?
相続人が亡くなっていた場合は、その者の子が相続人となります。
取集する戸籍謄本も変わってきますので注意が必要です。
ちなみに、遺言書がある場合など、状況によって必要がないものもありますので、収集する前に何が必要か確認するようにしましょう。
戸籍謄本の請求先
本籍地のある市区町村役場です。
何らかの理由で本籍地を移動している人は、その分請求する市区町村役場が増えますので、少々大変な思いをすることになります。
郵送も可能
戸籍謄本は市区町村役場の窓口だけではなく、郵送によっても取得することができますのでうまく活用しましょう。
郵送を利用する際は、その市区町村役場のホームページの確認を忘れずに!
地域によって取り方に違いがあったりします。
戸籍謄本を請求するのに必要なもの

- 戸籍交付申請書
- 印鑑
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
だいたいどこの市区町村役場の窓口でも、この3つは必要になります。
代理人が申請する場合は、
- 委任状
- 代理人の本人確認書類
この2つが必要です。
郵送で戸籍謄本を請求する場合
郵送の場合、手数料の支払い方に決まりがあります。
現金や銀行振込ではなく「定額小為替」というものを利用します。
定額小為替は、郵便局で購入することができます。
必要な金額分購入することができ、1枚あたり100円の発行手数料がかかります。
戸籍謄本の発行手数料
ここまでの文章では「戸籍謄本」という言葉を使っていましたが、実際に戸籍には「除籍謄本」や「改製原戸籍謄本」というものもあり、出生から死亡までの戸籍を集めるとなると、これらの戸籍謄本も必要になります。
発行してもらうには、次の手数料が必要になります。
- 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)=450円
- 除籍謄本(除籍全部事項証明書)=750円
- 改製原戸籍謄本=750円
郵送で戸籍謄本等を請求する場合、最終的な手数料がいくらになるのか分からないと思いますので、多めの定額小為替を送ります。
事前に発行手数料を把握しておきたいところですが、市区町村役場へ問い合わせても個人情報の関係で教えてもらえません。
ちなみに、先ほど少し触れた「戸籍の有効期限」ですが、戸籍そのものには有効期限はありません。しかし戸籍謄本等が必要となる「手続き」については期限があることが多いので注意しましょう。
取得する戸籍謄本等が増えるケース
次のようなことがあると、市区町村役場から取得する戸籍謄本等が増えます。
- 何度も本籍地を変更している
- 兄弟姉妹が相続人なる
- 代襲相続が発生している
取得する戸籍謄本等が増えるということは、それだけ相続の関係図が複雑になるということです。こういったケースに該当するようなら、相続の専門家へ依頼したほうが確実です。
古い戸籍などは手書きなので、慣れていないと解読も大変ですからね。
法定相続情報一覧図の作成
相続に必要な戸籍謄本等をすべて集め終わったら、「法定相続情報一覧図」を作成することをおすすめします。
法定相続情報一覧図は、その相続における相続関係をまとめたもので、法務局で手続きして発行してもらいます。
法務局のお墨付きの書類なので、これが一枚あれば、集めた大量の戸籍謄本の代わりとして使うことができます。いろいろな相続手続きをスムーズにすすめることができます。
法定相続情報一覧図の様式は、法務局のホームページからダウンロードできますので、必要な方は確認してみてください。発行に時間がかかる点には注意です。
ちなみに、戸籍の収集を含めて、行政書士に法定相続情報一覧図の作成を依頼することも可能です。