作成した遺言書の内容を「撤回」または「一部変更」する方法【注意点】

相続・遺言

遺言は、遺言者の意志を尊重するものです。

なので、遺言者はいつでも作成した遺言書の内容について、撤回や変更をすることができます。

今回は、遺言の撤回や一部変更について、具体的な方法や注意点などを説明していきます。

このあたりは日頃、行政書士として相談業務をするにあたりよく質問されます。
本記事を読まれた方の疑問が解消されれば幸いです。

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遺言内容をすべて撤回する方法

自筆証書遺言や秘密証書遺言については、書いた紙を処分してしまえば撤回したことになります。公正証書遺言については、公証役場に遺言が保管してあるので、破棄するための手続きをする必要があります。

後ほど詳しく説明しますが、どの遺言方式も新しく遺言書を作成すれば、前の遺言書を撤回したことになります。

遺言が2通以上あると相続発生時にトラブルになる可能性があるので、遺言内容をすべて撤回する際は、確実な方法で古い遺言書を処分することをおすすめします。燃やしたり、シュレッターしたりするのが確実です。

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2通以上の遺言がある場合の扱い

2通以上の遺言が発見された場合は、日付の新しいほうが優先されます。

遺言者の最終的な意思を尊重する必要があるからです。

なので、例えば違う内容の遺言書が2通発見された場合、「令和2年12月31日」の日付で作成された遺言よりも、「令和3年1月1日」の日付で作成された遺言書のほうが優先です。

日付の古い遺言書が有効になる場合

2通の遺言が発見されとして、内容がすべて違う場合には、先ほど説明した通り日付の新しいものが優先されますが、内容が抵触しない場合は2通の遺言とも有効となります。

また、遺言内容が抵触していたとしても、日付の新しい遺言書に書かれていない内容が、日付の古い遺言書に書かれていたら、その部分については古い遺言書が有効になります。

日付の古い遺言書が、どんな時も無効になるのではなく有効となる時もあるので注意が必要です。

遺言内容の一部を変更する方法

2通以上の遺言があった場合、抵触する部分について日付の新しいほうが優先されるわけですから、遺言内容の一部を変更するにあたって遺言書をゼロから作り直す必要はありません。

変更したい部分のみを書いた遺言を作成すれば良いのです。

公正証書遺言については、公証役場で訂正の手続きをとることも可能です。

遺言の方式による優先度

自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言などの遺言方式によって優先度に差はありません。あくまで作成された日付で判断されます。

公正証書遺言あたりは公証役場の手続きが必要だったりするので、作成するまでに手間も費用もかかります。なので、手間も費用もかからない自筆証書遺言よりも優先されるイメージを持っている方が多いですが、そんなことはありません。

公正証書遺言があったとしても、それより日付の新しい自筆証書遺言が見つかれば、自筆証書遺言が優先されます。

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