今回は「業務委任契約」についての記事です。
業務委任契約書は必要なのか?
どうやって作成したらいいのか?
といった疑問について、現役行政書士が経験をもとに説明します。
開業して間もない人向けの記事です。
業務委任契約書は必要なのか?
不要だという行政書士もいますが、私は必要だと思っています。
私の場合は、依頼を受任する際に、必ず業務委任契約書を作成して、依頼人に署名捺印してもらっています。必要な理由としては次のとおり。
- トラブルを解決させるため
- 依頼人の意思表示を明確にするため
- 業務範囲を明確にするため
順番に説明します。
トラブルを解決させるため
まず、何らかの問題が発生した際に業務委任契約書が解決の指針となります。
特に、お金に関することは、トラブルになりやすいですから、しっかりと業務委任契約書に記載して、トラブルを回避できるようにしておく必要があります。
依頼人の意思表示を明確にするため
たまに曖昧な感じで仕事を引き受ける流れになることがあります。
そういった時、委任契約書に署名捺印をさせることで「依頼する意思があるのか?」「報酬を支払う意思があるのか?」を明確にすることができまます。
業務範囲を明確にするため
最後は、業務範囲を明確にするためです。
私の専門とする相続は、依頼を受任してから完遂するまでに、数か月かかります。その間に、当初は予定していなかった業務が次々と発生します。
業務範囲を明確にしないで依頼を受けた場合、そういった業務を報酬も変わらないまま流れで引き受けてしまうことになります。
なので、業務委任契約を締結することで、業務範囲を明確にして、それ以外の業務が発生した場合は追加料金という線引きをします。
何でも安請け合いしていると、手が回らなくなりますからね。ここは重要です。
業務委任契約書はどうやって作成するのか?
一から全部自分で作成しても問題はないですが、時間がかかり過ぎてしまうので、既にある業務委任契約書をたたき台にして作成するのがおすすめです。
各都道府県の行政書士会で、ひな形を配布していることもあるので、ホームページをチェックしてみましょう。なければネットで探せばあります。
それをたたき台にして、自分の事務所のやり方に合わせた形に作り変えていきます。
例えば、報酬の支払いに関して現金を扱いたくないのであれば、現金による報酬の支払いに関する条文を削除して、報酬の支払口座を追加するなどします。
また、報酬は、前払いなのか?後払いなのか?その場合の金額は?など、どうすれば依頼をスムーズに完遂できるかを考えながら業務委託契約書を作り変えていきます。
私の場合は
私の場合は、同じ業務をやっている支部の先輩行政書士から業務委任契約書をもらいました。
開業して間もない頃は、ネットで見つけた契約書をたたき台にして使っていましたが、先輩行政書士の業務委任契約書が、あまりにも素晴らしかったのでお願いして頂きました。
その後、自分のスタイルに合わせて、何年もかけて何度も改良してきたので、最初のものとはだいぶ違うものになりました重宝しています。
業務委任契約を交わす際の注意
それは、契約前にしっかりと内容を説明するということです。
あたり前のことですが、これをやらないと契約してもトラブルになります。
特にお金に関することは、説明を省略してはダメです。
必ず理解してもらいましょう。
説明するのに専門用語は使わない
契約書には専門用語が多く使われていると思いますが、その説明をする際には専門用語は使わないようにしましょう。
依頼人は、多少分からない専門用語があったとしても、話をさえぎってまで聞いてきません。
なので、契約書の大切なところを理解していなくてトラブルになる場合もあるので注意が必要です。