今回は、「自筆証書遺言の作成」についてです。
作成するにあたって、事前に依頼者に説明したほうがいいことを書いていきます。
この記事にかかれていることを行政書士として説明すると、自筆証書遺言ではなく公正証書による遺言作成を選択する依頼人が増えます。
途中からの変更は、依頼者へ負担をかけてしまいますからね。
自筆証書遺言を作成する前に、必ず説明するようにしましょう。
自筆証書遺言を作成するにあたって、事前に依頼者に説明したほうがいいこと
それは「自筆証書遺言が相続人の負担になる」ということです。
自筆証書遺言は、ペンと紙と印鑑さえあれば作成することができるので、遺言者としては便利なのですが、その遺言書を残された相続人にとっては負担が大きいです。
自筆証書遺言は「検認」が必要
一番大変なのが「検認」です。
自筆証書遺言は、家庭裁判所で検認を受けないと、その後の手続きで使えません。
なので、相続人は必ず検認の手続きを行います。
申請書作成やら添付書類の準備やら慣れない手続きは大変です。ただでさえ、大切な人が亡くなった後ですからね。負担は大きいです。
専門家へ頼むこともできますが、専門家を探したり依頼したりするのも、慣れない人にとっては負担になります。
筆跡鑑定が必要なこともある
上記以外でも、自筆証書遺言が相続人の負担になることがあります。
それは「筆跡鑑定」です。相続人のうちの誰かが「自筆証書遺言が偽物だ!」と言い出せば、専門家による筆跡鑑定が必要になることがあります。
裁判は、時間も費用もかかりますからね。
こういった可能性が自筆証書遺言にはあることを説明しておいたほうが良いです。
依頼者の希望が自筆証書遺言から公正証書遺言作成へ変わる
誰でも、残された家族に負担はかけたくないですからね。
上記のような点を説明すると、最初は自筆証書遺言作成の相談に来ていた人も、公正証書遺言を作成しようと考えが変わります。
公正証書遺言は、現在の遺言方式の中で、遺言者の思いを死後に最も実現させることができるものだと思いますので自信をもってすすめましょう。
自筆証書遺言を「保管所に預けている場合」の相続人の負担
数年前に自筆証書遺言を保管所(法務局)で預かってくれる制度ができました。
この制度を利用すると、自筆証書遺言でも「検認」は不要になります。
相続人の負担は軽減されるのか?
実は、あまり差はありません。家庭裁判所への検認手続きは不要になるものの、遺言を執行するには、遺言書保管官に対して「遺言書情報証明書」交付を申請しなければなりません。
この申請が、検認とそれほど差がないほど面倒だと言われています。