行政書士の資格が役に立つ理由【現役の行政書士が説明します】

行政書士開業
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こんにちは、ひろです。

私は行政書士として開業5年目なので、行政書士の資格が役に立たないなんて思ったこともないですが、世間では役に立たない資格だと思っている方も少なくないようです。

ネットでは、下記のような意見もよく見られます。

  • 行政書士の資格を取得しても役に立たない。
  • 勉強するだけ無駄。

今回は、こういった意見について、行政書士の立場からコメントしていきたいと思います。結論を先に言ってしまうと、役に立つ資格なので取得をおすすめします。

行政書士の資格を取得しながら、役に立たないと言っている方もいます。
「なぜ、そう思うのか?」そういった意見についても取り上げていきます。

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行政書士の資格が役に立つ理由

理由を説明する前に、行政書士がどんな資格なのか簡単に説明します。
行政書士は、法律を根拠に次の業務ができます。

  • 官公署に提出する書類の作成と代理
  • 権利義務に関する書類の作成と代理
  • 事実証明に関する書類の作成と代理
  • 上記についての相談業務

これだけだと、イメージがわかない方もいると思いますので、行政書士の資格で開業した人が実際に行っている業務の一部も書いておきます。

【開業した行政書士の主な業務内容】
遺言、相続、成年後見、自動車登録関係、契約書作成、内容証明、外国人関係
会社設立、建設業許可、会計記帳、農地転用許可、飲食店営業許可など…

行政書士が扱うことができる書類は、10,000種類以上とも言われているので、上記以外にも業務はたくさんあります。

これらを踏まえたうで、行政書士の資格が役立つ理由としては次の4つが考えられます。

  • 社会的評価が高い
  • 独立開業できる
  • 他士業と兼業すると便利
  • 会社員の副業に最適

それぞれ説明していきます。

社会的評価が高い

「ほかの資格と比較して~」とかではなく、単純に「行政書士」という資格は社会的な評価が高いです。理由としては次のような感じです。

  • 法律を扱っている
  • 国家が認めている資格である
  • 難しい試験を合格している

社会的な評価が高いだけでも、十分に取得する価値はあります。
お金に結び付くことだけが、すべてではないですからね。

また、同じ理由から行政書士には「信用」があります。

通常、何らかの事業を行う場合、お客さんからの信用を得るまでには何年もかかりますが、行政書士の場合は、国が認めている「国家資格」というだけで、開業当初からある程度信用してもらえます。

仕事をしていくうえで「信用」は、かなり大きな武器です。

独立開業できる

個人的には、行政書士の資格を取得して一番役に立っているのが「独立開業できる」という点です。

会社員をしていた頃は、ほとんどの事を会社が決めていました。

  • 勤務時間、休日、給料
  • 仕事のやり方、考え方
  • おすすめする商品・サービス

など、自分で判断できる内容も、会社が決めた枠内でといった感じです。

しかし、行政書士で独立開業すると、仕事や給料などの保証はありませんが、何でも自由に決めることができます。新型コロナの影響で、仕事を失う心配をすることなく、生活費を稼ぐことができます。

ちなみに、食えない資格と言われている行政書士ですが、実際のところは「やり方しだい」です。営業やマーケティング、差別化など、いろいろと工夫する必要はありますが、年収1,000万以上の行政書士はたくさんいます。

他士業と兼業すると便利

行政書士の資格は「他士業との兼業」に役立ちます。他士業とは、司法書士や土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士などのことです。

行政書士は、他士業の独占業務以外の手続きを扱うことができます。これは、逆に言うという他士業の先生は、独占業務以外のことをするときに行政書士法に違反しないかを考えなくていけません。

士業が受ける依頼はいろいろな要素を含んでいて、メインとしてる資格だけで対処できないことが多くあります。

なので、他士業の先生が、同時に行政書士の資格を持つと、とても便利で役に立ちます。依頼によっては、ワンストップサービスが可能になります。

会社員の副業に最適

行政書士の資格は、サラリーマンなどの副業にも最適です。
仕事の内容的に、他士業よりも副業に適しています。

また、副業するとなると、本業と副業、両方の会社の規定に従わなくてはいけませんが、副業として行政書士業を始めれば、副業に関しては基本的に自由です。本業に合わせて仕事をすることができます。

解雇などの理由で本業を退職した場合の保険にもなります。

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行政書士にならなくても試験で勉強した知識は役立つ

行政書士の資格を取得するための勉強は、たとえ行政書士として独立開業しなくても、次の場合に役立ちます。

  • 身近な法律トラブルの解決
  • 公務員の業務

それぞれ説明していきます。

身近な法律トラブルの解決

行政書士試験で勉強する内容は、民法や行政法など、身近な法律トラブル解決に役立つものが多くあります。どれも知っていて損はない内容です。

「法律」は、日本で生活していくための「ルール」みたいなものです。ルールを知らないでスポーツをするのが難しいように、法律を知らないで生活するのは大変です。

身近な法律とは、遺言や相続、離婚など民法に関係するものなどです。
行政法を勉強すると、普段の行政手続き役立ちます。

公務員の業務

これは、行政手続き関係の仕事をしている公務員に限定した話です。行政書士の試験科目である民法や行政法は、そういった公務員が業務をする際に役立ちます。

行政手続きを申請される側が、知っていることで防ぐことができる問題もあります。
法的な思考も身に付きます。

公務員の場合、一定の実務経験があれば、行政書士試験を受験することなく資格を取得できますが、普段の業務に役立つことを考えると、試験免除を待つより資格を取得する気で勉強することをおすすめします。

公務員に関しては、こちらの記事で条件やメリットまとめています。

公務員から行政書士へ【条件を満たせば試験免除で登録・開業OK!】

「行政書士の資格が役に立たない」と、なぜ言われているのか?

「行政書士の資格が役に立たない」という意見についても取り上げていきます。

いろいろと検索してみましたが、行政書士という資格を勘違いしている方が多いように思いました。そもそも行政書士という資格の活かし方が間違っているような感じです。

例えば、面接に行ったが、行政書士の資格が評価されなかった。だから、行政書士の資格なんて役に立たない…。など。

このブログでも取り上げたことがありますが、行政書士の資格が一番役に立つのは「独立開業」であって、就職活動のために行政書士資格を取るのはおすすめできません。

履歴書に「行政書士試験合格」と書けば、難関資格を取得できる「能力がある」という点は評価はされると思いますが、行政書士という資格自体の評価は薄いです。

資格自体を評価してくれるのは、中小企業の総務部や法務部、士業の事務所くらいです。
それでも、即戦力としては見られないので、優遇されての採用は難しいです。

行政書士事務所の面接で資格が評価されなかった

そういった事情で、行政書士の資格が役に立たないと思っている人もいるようです。

しかし、この場合、行政書士の資格がどうかというより、倍率が高かっただけだと思います。

行政書士事務所の求人は、驚くほど少ないです。

なので、都心部の事務所で求人募集をした場合、何十人という行政書士試験合格者が応募してきます。ほとんどの応募者が行政書士資格を持っていれば、評価されないのは当然です。

受験予備校のパンフレットに書かれていた内容と違う

行政書士試験合格後に「役に立たない」と言っている方の中には、受験予備校のパンフレットの情報を鵜呑みにしてしまった結果、そのような意見になった方もいるようです。

パンフレットに書かれている内容に嘘はないと思いますが、生徒を集めるために少し大げさに書かれていることはあります。

受験予備校からの情報を鵜呑みにしないで、インターネットや人脈を活用して、実際にどうなのかを自分で確認したほうが良いです。

AIの登場で行政書士の資格は役に立たなくなる?

AIが登場した頃、私が所属している行政書士会でも話題になっていました。

AIとは「人工知能」のことを言いますが、AIが行政手続きを処理するようになれば行政書士は廃業するしかないという噂がありました。

実際のところどうなのか?

AIの登場で、行政書士業務が減るのは確実です。
ただ、業務のすべてが無くなることはありえません。

行政書士の業務の中には、コンサルティングの要素を含むものも多くあるので、そういった業務をAIが処理するのは無理です。

また行政書士の場合、法律や制度が創設されたり改正されたりで、新たな業務が発生します。簡単に需要がなくなるのは考えづらいです。

まとめ

今回は「行政書士の資格が役に立つ理由」について説明しました。

「今後も行政書士は役に立つのか?」と、行政書士の将来性を心配される方もいると思いますが、あまり気にしなくても大丈夫です。

私を含めて実際に行政書士として働いている人で、将来性を心配している人は少ないです。理由は、そんな簡単な仕事をしていないからです。やり方しだいでは、今後も成長していく資格です。

行政書士として活躍するにしても、未登録のまま放置するにしても、行政書士試験で勉強した内容は役に立つものなので、試験への挑戦をおすすめします。