今回は、行政書士の開業時に悩む「研修」についてです。行政書士は試験内容の知識が、実務の知識として使えない部分が多いので、未経験の人は何らかの研修が必要になります。
どの研修が必要で、どの研修が不要か?について、私の経験をもとにお話します。
それでは、見ていきましょう。
行政書士開業時に「必要な研修」と「不要な研修」
行政書士は、登録が終わると、所属する行政書士会が実施している基礎研修や、業務研修に参加することができます。
開業時に必要な研修としては、所属する行政書士会がおこなっている基礎研修です。不要な研修は、それ以外の団体や会社が主催している開業セミナーや実務研修です。理由は後ほど書きます。
基礎研修は内容や地域にもよりますが、だいたい千円~二千円程度で受けられると思います。私も受けました。開業時にとても役に立つ知識を教わりました。特に経験も知識もない業務の基礎研修は、取扱い業務を決める際にも役立ちます。
最初から、「私は〇〇業務のプロになる」と決めて行政書士になった人でも、受けておいて損はないと思います。専門外でも相談くらいは受けられるので。
ちなみに、講師の話は実務的な話が多く、どの開業本にも書かれていないような裏技やトラブルにならないための注意点なども教えてくれるの役立ちます。
基礎研修は、平日の昼間に実施されることが多いので、兼業者は都合を合わせるのが大変ですが、1年に1回は実施しているはずなので、その年が無理なら翌年の研修でも遅くないので確認してみてください。
行政書士会「基礎研修」のメリット
先ほども言ったとおり、基礎研修会はおすすめです。
メリットとしてはこんな感じです。
- 業務の知識が増える
- 優秀な講師や同期の先生と知り合える
業務の知識が増える
基礎研修なので、とうぜん業務の知識が増えます。ここで得る知識は、書店で売られている本などには書いていないようなもの。直接実務に使える知識が多いので、とても役立ちます。
また、その地域での暗黙のルールというか、ローカルールと言うんですかね。そういった知識を教えてくれたりする講師もいるので助かります。仕事がスムーズに進みますし、トラブル防止にもなりますから。
優秀な講師や同期の先生と知り合える
講師をしてくださった先生や、同じ研修を受けた同期の先生たちと、知り合うことができます。講義が終わった後には積極的に名刺交換を。
今後、他の研修で会うことも多いですし、業務で分からないことがあった際は相談もできます。必ず名刺交換をしておくべきです。
【体験談】基礎研修での出会い
私が実際に受けた「建設業の基礎研修」はとても素晴らしものでした。講師の先生が実際に受けた案件を教材にして依頼を再現。(依頼人の個人情報部分を消したもの)
研修資料も説明も分かりやすく、難しいはずの知識がすんなりと頭に入りました。明日にでも建設業の依頼を受けられるんじゃないかと思うほどでした。
講義終了後に名刺交換したところ、お隣の支部の先生でした。その後、何度か会う機会があり、実務で分からない部分の相談に乗ってもらうことも。基礎研修をキッカケに素晴らしい先生に出会えました。
行政書士会の基礎研修会【注意点】
行政書士会が実施する「基礎研修」を受けるにあたり注意する点があります。
- 担当する先生によっては講義が分かりづらい
- 当たり前に講師を頼るのは間違い
担当する先生によっては講義が分かりづらい
基礎研修で講師をしてくださる先生は、所属する行政書士会の先輩です。なので、講師が本業ではありません。担当する人によっては、資料や説明が分かりづらく理解できないなんてこともあります。
これは、もう事前には分からないので研修を受けてみるしかないです。理解できなかった場合は、実務書を買って自分で勉強するしかないです。先生によって分かりやすさに差がでるのは仕方がないです。
当たり前に講師を頼るのは間違い
行政書士会の基礎研修で講師をした先生は、頼まれて講師を引き受けただけで、研修が終われば講師は終わりです。これを理解していない人が多いそうです。
基礎研修の講師経験のある先生に聞いたところ、勘違いした新人が、後日実務で分からないことがあるたびに電話をかけて聞いてくるのだとか。
講師をした先生からしたら迷惑な話です。そんな電話に対応しても行政書士会から特別手当が出るわけでもないし仕事の邪魔でしかないですよね。
私がさきほどの体験談で、講師の先生に相談した時は、講義後に何度も会う機会があって、その先生から「分からないことがあったら電話しておいで」と言われたからです。基礎研修の講師をしていたからという理由だけではありません。注意しましょう。
日本行政書士連合会の中央研修所
所属する行政書士会の上、日本行政書士連合会でも下記の研修をおこなっています。
- 行政書士の資質向上に必要な研修
- 特定行政書士法定研修
ホームページ等で紹介されているので、気になる人は確認してみてください。ここでの研修は基礎研修が終わってからの検討で大丈夫です。
ちなみに、特定行政書士になる予定の人は、試験内容がかぶっているので、忘れないうちに研修をうけて合格したほうがいいです。
行政書士試験合格から時間が経ってからの「特定」の試験受験は苦戦します。行政書士試験の内容が実務とかけ離れているので、覚えたことは年々わすれていきます。
その他の団体が開催している実務研修・開業セミナー
基本的に、所属の行政書士会や連合会が行っている研修以外は参加しなく大丈夫です。どの業務に特化するか決めていないうちに受けても意味がないですからね。
それに、高いお金を取るだけで内容が薄い実務研修や開業セミナーなんかも多いそうです。よるある「ひよこ狩り」の被害にあわないためにも判断は慎重に。
有名予備校が行っている研修
内容によっては参加する価値がある研修もあります。それは、行政書士試験の有名予備校がおこなっている開業セミナーや実務研修です。
ネットで検索すると山のように出てきます。行政書士会の研修ではやらないような部分を取り上げた、価値ある研修がいくつかあります。おすすめの研修等は、説明が長くなるのでいずれこのブログで取り上げます。
まとめ
行政書士の開業時に受ける研修は、まずは所属する行政書士会が実施している基礎研修です。そして、それが終わったら、行政書士会や連合会が行っている興味ある研修を受けるという順番がベストです。
それでも、まだ知識が足りないようなら有名予備校の研修。
それ以外の会社や団体が主催している研修は、ひよこ狩りの被害にあわないためにも、受けるなら、所属支部の信用できる先輩行政書士に相談してからがいいです。