行政書士の兼業は禁止されているのか?サラリーマンをしながら副業として開業できるのか?【資格】

行政書士開業
※記事内に広告が含まれる場合があります。

このページでは、行政書士資格の「兼業・副業」について説明しています。

行政書士の兼業は禁止されているのか?
サラリーマンなど、他に仕事をしながら副業で行政書士業を開業できるのか?

などの疑問に答えるほか、注意点なども経験をもとに説明していきます。
筆者は、行政書士の資格で開業しています。

スポンサーリンク

行政書士の兼業・副業は禁止されているのか?

行政書士の資格は「副業で他の仕事をしてはいけない」という規定は一切ありません。なので、行政書士をしながら、他の仕事もやりたいという人は自由にできます。

そもそも、そんな決まりがあったら、実務未経験の新人行政書士なんて、すぐに廃業してしまいますからね。

私の所属している支部でも、アルバイトやパートをしながら行政書士業を頑張っている先生が多くいます。

兼業者が多い行政書士

基本的に行政書士という職業は、兼業者が多いです。

行政書士とは全然関係のない仕事と兼業している先生もいますし、税理士、司法書士、社会保険労務士などの本業をもちながら、補助的に行政書士の資格を使っている先生もいます。

兼業者が多いのは、行政書士という資格の特徴ともいえます。

スポンサーリンク

サラリーマンをしながら副業として開業できるのか?【資格】

行政書士側としては「兼業・副業」を禁止していませんので、サラリーマンをしながら副業として行政書士業を営むこともできます。行政書士登録も問題なくできます。

ただ行政書士という仕事の性質上、副業でやる場合にいくつか注意点があります。ここを無視して突っ走ると、自分が罰則を受けるだけでなく、お客さんにも迷惑をかけることになるので注意です。

次の5つは必ず確認しておきましょう。

  • 会社側が副業を認めているのか?
  • 依頼に応じられるのか?
  • 官公署に行くことができるのか?
  • 守秘義務を守ることができるのか?
  • 企業内行政書士

それぞれ説明していきます。

会社側が副業を認めているのか?

会社によっては副業を認めていないところもあります。最近は副業OKなところが増えてきていますが、まだまだ禁止しているところは多いです。

行政書士側が副業OKでも、会社側がダメなら諦めるべきです。

会社の就業規則に目を通し、兼業や副業が懲戒処分などの罰則に該当しないのかなど、行動を起こす前に必ず確認しておくようにしましょう。

会社に内緒で行政書士の資格で開業する先生もいますが、バレた時は確実に面倒なことになります。そのあたりを考えたうえで開業するか判断しましょう。

依頼に応じられるのか?

行政書士が必ず守らなければならない「行政書士法」という法律があります。そしてその第11条に「依頼に応ずる義務」という規定があります。

これは「行政書士は、正当な理由がある場合でなければ依頼を拒むことができない」とった規定です。義務なので、行政書士側の勝手な理由で依頼に応ずることができない場合、行政書士法違反になってしまう可能性があります。

行政書士として登録・開業する前に「どの業務を扱って、どう対応するのか」をシミュレーションすることが必要です。

依頼が受けられない環境なのに開業しても収入は見込めませんし、行政書士の資格は維持するための費用(会費)もかかりますからね。

官公署に行くことができるのか?

許認可を中心とした業務をする場合は、土日休みのサラリーマンだとキツです。申請先となる官公署が営業していないからです。

書類作成などの業務を、土日の休日を利用して終わらせることができても、申請は平日の昼間に官公署に提出しなければ仕事を終わらせることができません。

作成した書類をなかなか提出できないようでは、お客さんに迷惑をかけてしまいます。本業をする時間が、官公署の営業時間と合わないようなら、副業行政書士を諦めるべきです。

ちなみに、土日休みのサラリーマンが行政書士業をやるなら、相続や離婚など許認可以外を専門に扱うほうが、まだ何とかなります。

守秘義務を守ることができるのか?

行政書士として開業すれば、サラリーマンとして仕事をしている最中にも、問い合わせや依頼の電話がかかってきます。まわりに他の社員がいたのでは、本人にその気がなくても情報漏洩してしまいます。

行政書士には守秘義務があります。違反すれば罰則もあります。
守秘義務を守ることができる環境であるかの確認は重要です。

企業内行政書士

行政書士は、一般企業に雇われて業務をすることは禁止されています。企業が社員である行政書士の資格を使って、利益を得てしまっては大変なことになりますからね。

知らなかったでは済まないので注意が必要です。

サラリーマンが副業で行政書士になるメリット

  • 収入が増える
  • リスクが少ない
  • 研修会に参加できる

順番に説明していきます。

収入が増える

本業とは別に仕事をするわけですから、当然収入が増えます。
工夫と努力しだいでは、本業の収入を超える可能性もあります。

リスクが少ない

専業で開業するよりリスクが少ないというメリットがあります。

通常、行政書士業で失敗したら無職、無収入になりますが、副業という形であれば、本業があるので収入面で困りません。

また、リスクが少なく実務を経験できるのは、メリットとして大きいです。しっかりと経験を積んでおけば、将来、行政書士の資格で開業しても失敗するということがありませんからね。

研修会に参加できる

行政書士として仕事をするには、行政書士会に登録する必要があります。様々な義務が発生することになりますが、行政書士会が実施する研修会にも参加できるようにもなります。

この研修会は、現役の行政書士や弁護士、官公署の職員などが講師をしていて、とても内容が濃いので参加できるメリットは大きいです。

サラリーマンが副業で行政書士になるデメリット

  • 収入を得るまでが大変
  • 本業に支障がでる

順番に説明していきます。

収入を得るまでが大変

満足のいく収入を得るまでが大変です。

専業で開業した人でも、最初は収入の少ない人が多いですからね。
副業となるともっと大変だと思います。

「行政書士の資格があれば簡単に稼げる」と思っている人は、痛い目にあいます。

本業に支障がでる

行政書士の仕事は、思い通りにいかないこともありますから、状況によっては本業に支障がでる場合もあります。

例えば、何らかの問題が発生して、急に官公署に行かなければならない状況になったとか。

副業という理由で、行政書士としての責任が減るわけではないですからね。依頼人に迷惑をかけないように何とかしなければなりません。

兼業行政書士の収入で事務所運営は可能か?

週2休みのサラリーマンが、休日を使って行政書士業を営んだ場合でも、事務所を運営していくことは可能です。

行政書士は、所属する行政書士会に会費を納めています。金額は各都道府県で差がありますが「年6~8万円」ぐらいです。

自宅兼事務所で開業すれば、事務所にかかる費用がないので、この会費さえ支払えば行政書士事務所を維持することできるということになります。

つまり、月に5~7千円稼ぐことができれば行政書士として仕事ができます。他に多少の経費がかかっても、週2日働くことができれば稼げない額ではありません。

兼業行政書士の信用度

お客さんから見たとき、専業で行政書士をやっている先生にくらべ、兼業の行政書士の信用度は低いです。

誰でも、専業と兼業なら、専業の行政書士さんを選びますからね。
このあたりも理解したうえで兼業を検討する必要があります。

行政書士をしながら副業でアルバイト

先ほども少し話ましたが、行政書士をしながら副業でアルバイトするという方法もあります。この場合、行政書士業が中心でアルバイトが生活費を稼ぐための補助的な感じです。

こういった兼業は、開業したてで収入の安定しない新米行政書士に多い形態です。私の周りにもそういった先生が多数います。

アルバイトをしながら行政書士業をやる注意点としては、時間の管理と体力です。官公署が開いている平日の昼間にアルバイトを入れてしまうと業務に支障がでますし、頑張って早朝や深夜にアルバイトを入れてしまうと体力が持ちません。

実際に、体調を崩した先生を見てきているので油断は禁物です。また、アルバイトが原因で連絡がとれず、お客さんを逃がしてしまうケースもあります。

所属している支部で実際にあった話

  • アルバイト中で電話に出れず、先輩先生からの紹介が他の先生に流れてしまった。
  • アルバイトがどうしても断れず、無料相談会に遅刻。

生活費のためなので、仕方がないのは痛いほどわかるのですが、これでは、なんのためのアルバイトなのか分からないですよね。

まとめ

行政書士業には、兼業が禁止という規定はありません。司法書士や税理士、社労士、サラリーマン、アルバイト、パートなど、なんでも好きにできます。

大切なのは「何のために兼業をするのか」という目的を持つことと、お客さんを含め、まわりの人に迷惑をかけないということです。

今回は、ここまでです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

行政書士について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ。
≫ 【行政書士とは?】具体的な「業務内容」や「相談できる内容」を分かりやすく解説
≫【行政書士になるには?】働きながら独学での合格も可能です【体験談】