こんにちは、行政書士のひろです。
今回は、行政書士の「兼業」についてです。
「行政書士の兼業は禁止されているのか?」
「サラリーマンなど、他に仕事をしながら行政書士業を開業できるのか?」
「兼業での収入で事務所を運営していくことは可能か?」
私のまわりの先生方の話を含めて説明します。
では、ご覧ください。
行政書士の兼業は禁止されているのか?
「行政書士が、兼業で他の仕事をしてはいけない」という決まりは一切ありません。
なので、行政書士をしながら、他の仕事もやりたいという人は自由にできます。
そもそも、そんな決まりがあったら、実務未経験の新人行政書士なんて数か月で廃業してしまいますからね。
私の所属している支部でも、サラリーマンをしながら行政書士をやっている先生や、アルバイトやパートをしながら頑張っている先生が多くいます。
兼業者が多い行政書士
基本的に行政書士という職業は、兼業者が多いです。
行政書士とは全然関係のない仕事と兼業している先生もいますし、税理士、司法書士、社会保険労務士などの本業をもちながら、補助的に行政書士の資格を使っている先生もいます。
兼業者が多いのは、行政書士という資格の特徴ともいえます。
兼業で行政書士業をやる場合の注意点
行政書士という仕事の性質上、兼業でやる場合にいくつか注意点があります。ここを無視して突っ走ると、お客さんを含めまわりに迷惑をかけることになります。
それは、次の4つ。
- 会社側が副業を認めているか?
- 依頼に応じられるのか?
- 官公署に行くことができるのか?
- 企業内行政書士
それぞれ説明していきます。
会社側が副業を認めているか?
会社によっては副業を認めていないところもあります。
最近は副業OKなところが増えてきていますが、まだまだ禁止しているところは多いです。
行政書士が兼業OKでも、会社側がダメなら諦めるべきです。
会社の就業規則に目を通し、兼業や副業が懲戒処分などの罰則に該当しないのかなど、行動を起こす前に必ず確認しておくようにしましょう。
会社に内緒で行政書士の資格で開業する先生もいますが、バレた時は確実に面倒なことになります。そのあたりを考えたうえで開業するか判断しましょう。
依頼に応じられるのか?
行政書士が必ず守らなければならない「行政書士法」という法律があります。
そしてその第11条に、「依頼に応ずる義務」という規定があります。
これは、「行政書士は、正当な理由がある場合でなければ依頼を拒むことができない」とった規定です。こちらの勝手な理由で依頼に応ずることができない場合、行政書士法違反になってしまう可能性があります。
行政書士として登録・開業する前に「依頼をちゃんと受けらるのか?」シミュレーションすることが必要です。
依頼が受けられない環境なのに開業しても収入は見込めませんし、行政書士の資格は会費など維持するための費用もかかります。
官公署に行くことができるのか?
許認可を中心とした業務をする場合は、土日休みのサラリーマンだとキツです。
申請先となる官公署が営業していないからです。
書類作成などの業務は、土日の休日を利用して終わらせることができても、申請は平日の昼間に官公署に提出しなければ仕事を終わらせることができません。
作成した書類をなかなか提出できないようでは、お客さんに迷惑をかけてしまいます。
土日休みのサラリーマンが行政書士業をやるなら、相続や離婚など許認可以外を専門に扱うほうがいいのかもしれません。
企業内行政書士
ちなみに、企業の社員として雇われ仕事をしながら、さらにその企業内で行政書士として働くことはできません。これは禁止されています。
企業が社員である行政書士の資格を使って、利益を得てしまっては大変なことになりますからね。
兼業行政書士の収入で事務所運営は可能か?

週2休みのサラリーマンが、休日を使って行政書士業を営んだ場合でも、事務所を運営していくことは可能です。
行政書士は、所属する行政書士会に半年に1回会費を納めており、金額は半年で3万円、1年あたり6万円とういう額を支払っています。
自宅兼事務所で開業すれば、事務所にかかる費用がないので、この会費6万円さえ支払えば行政書士事務所を維持することできるということになります。
つまり、月に5千円稼ぐことができれば行政書士として仕事できます。
他に多少の経費がかかっても、週2日働くことができれば稼げない額ではありません。
兼業行政書士の信用度
お客さんから見たとき、専業で行政書士をやっている先生にくらべ、兼業の行政書士の信用度は低いです。
誰でも、専業と兼業なら、専業の行政書士さんを選びますからね。
このあたりも理解したうえで兼業を検討する必要があります。
行政書士とアルバイト
行政書士とアルバイトの兼業という方法もあります。
この場合、行政書士業が中心でアルバイトが生活費を稼ぐための補助的な感じです。
こういった兼業は、開業したてで収入の安定しない新米行政書士に多い形態です。
私の周りにもそういった先生が多数います。最初の頃は仕方がないです。
アルバイトをしながら行政書士業をやる注意点としては、時間の管理と体力です。官公署が開いている平日の昼間にアルバイトを入れてしまうと業務に支障がでますし、頑張って早朝や深夜にアルバイトを入れてしまうと体力が持ちません。
実際に、体調を崩した先生を見てきているので油断は禁物です。
また、アルバイトが原因で連絡がとれず、お客さんを逃がしてしまうケースもあります。
所属している支部で実際にあった話
- アルバイト中で電話に出れず、先輩先生からの紹介が他の先生に流れてしまった。
- アルバイトがどうしても断れず、無料相談会に遅刻。
生活費のためなので、仕方がないのは痛いほどわかるのですが、これでは、なんのためのアルバイトなのか分からないですよね。
まとめ
行政書士業には、兼業が禁止という規定はありません。司法書士や税理士、社労士、サラリーマン、アルバイト、パートなど、なんでも好きにできます。
大切なのは、何のための兼業なのか?を忘れないことと、お客さんを含め、まわりの人に迷惑をかけないということです。