ひと昔前にくらべるとだいぶ知名度が上がった「行政書士」ですが、まだまだどんな職業か知らないという方が多いのが現実です。
今回は、行政書士について知ってもらうために、行政書士の具体的な「業務内容」や「相談できる内容」について、ご紹介したいと思います。
【行政書士とは?】具体的な業務内容について
行政書士とは、行政手続きの専門家です。「身近な街の法律家」とも言われています。
大きく分けて、次の4つの業務を取り扱うことができます。
- 官公署に提出する書類の作成
- 権利義務に関する書類の作成
- 事実証明に関する書類の作成
- 作成できる書類に関する相談業務
これだけだと、どんな業務内容かイメージがわかないと思います。
なので、具体的に説明していいます。
1.官公署に提出する書類の作成
日本では、何らかの事業をしたいと思ったとき、官公署の許認可や届出が必要になることがあります。行政書士は、そういった手続きに必要な書類を作成したり、添付書類を集めたりして本人の代わりに申請を行います。
具体的には、下記のような手続きです。
- 建設業許可・経営事項審査・入札参加資格審査
- 貨物運送事業許可・旅客運送事業許可
- 宅建業者免許
- 産業廃棄物処理業許可
- 飲食店営業許可・古物商許可
- 農地転用許可・開発許可
代表的なものをいくつかを書きましたが、上記以外にもたくさんあります。
本人が手続きをすれば行政書士は不要ですが、こういった手続きの中には専門的な知識を必要とするものもありますので、本人がやっていては大変です。
- どこに申請をすればいいのか?
- 申請書をどう書けばいいのか?
- どんな添付書類が必要なのか?
いちいち調べていたのでは、本業どころではなくなりますからね。そういったときに行政書士が必要になります。行政書士は、こういった官公署に提出する書類作成の専門家です。
2.権利義務に関する書類の作成
何らかの権利を発生させたり、変更させたりする書類の作成を行います。
具体的には、下記のような書類です。
- 遺産分割協議書
- 不動産売買契約書・賃貸契約書
- 自賠責保険請求・交通事故関係報告書
- 金銭消費貸借契約書
聞いたことのある書類も多いと思います。
行政書士の作成する書類は、官公署に提出するものだけと思われがちですが、こういった権利義務に関する書類も作成することができます。
3.事実証明に関する書類の作成
文字通り、事実を証明できる書類の作成ができます。
具体的には、下記のような書類です。
- 法人の定款・議事録作成
- 内容証明
- 示談書
- 図面作成
最後の図面作成は「行政書士の仕事」というイメージがないかもしれませんが、先ほど紹介した「飲食店営業許可」などは、平面図などの図面が添付書類で必要になります。行政書士はそういった図面を作成することも認められています。
4.作成できる書類に関する相談業務
ここまで、ご紹介した行政書士が作成できる書類に関して、相談を業務として受けることができます。相談業務に関しては、行政書士事務所によって有料だったり無料だったりしています。
行政書士の役割
行政書士には「国民と行政機関をつなぐ」という役割があります。
行政機関での手続きは複雑で分かりにくいものが多いですから、それを本人に代わり行うことで、国民が行政機関を利用しやすくします。
行政書士が作成できる書類の数
行政書士が作成できる書類は「1万種類以上」もあると言われています。
1万種類のすべてを紹介するのは無理ですが、他の法律で制限されていなければ基本的に作成できると覚えていただければと思います。
例えば、不動産登記や商業登記などの申請は司法書士が行いますし、税務書類の作成などは税理士、裁判・法律事務に関するものは弁護士が行います。それぞれ法律で制限されていますので、行政書士が扱うことはできませんが、こういったもの以外なら扱うとができます。
弁護士との違い
余談ですが、昔、行政書士を主人公としたドラマが放送された影響で、行政書士を弁護士のように考えてしまっている人もいるようです。しかし弁護士と行政書士はだいぶ違います。
大きな違いとしては、相手方と交渉ができるかどうかという点です。弁護士は、依頼人に代理して相手方と交渉することができますが行政書士はできません。
なので、例えば行政書士の業務として書類を作成している最中に、何らかの紛争が起こったしまった場合は、提携している弁護士にその部分をお願いします。
とりあえず行政書士に相談するのがおすすめ
今回は、行政書士の業務内容や相談内容、役割についてご紹介しました。
一点勘違いしないで欲しいことがあります。
それは行政書士に相談すること自体は、どんな内容でも問題がないということです。
他の法律で制限されているものは業務としては取り扱えませんが、問題解決のために「案内すること」は可能です。
裁判関係だろうが、登記関係だろうが、税務関係だろうが関係ないです。
どんなことでも相談することは可能です。
提携している他士業を紹介
相談を受けた行政書士は、それが行政書士の業務範囲外だった場合、提携している弁護士や司法書士、税理士、社会保険労務士などの他士業を紹介します。万が一紹介できない場合でも、その相談内容がどの士業の業務範囲なのかは教えてくれます。
無料相談をやっている行政書士事務所は多いですし、有料だったとしても弁護士の相談料よりは安い所がほとんどです。なので、とりあえず行政書士に相談するのがおすすめです。