相続を取り扱っている行政書士は多いと思います。
相続業務を行うにあたって、注意しなければならないのが「業際問題」です。
業際問題とは、士業が他の士業の独占業務を、資格を持たないで行うことを言います。
当然、法律で禁止されています。
今回は、行政書士が相続業務を行うにあたって、注意しなければならない3つの士業の「独占業務」について説明します。
【行政書士】相続業務を行うにあたって注意する他士業の独占業務
相続業務は、ほとんどの場合、行政書士の資格だけでは足りません。
他の士業の力が必要になります。
各士業には独占業務があり、その資格がないとその業務は行うことができません。
相続業務をするにあたって、よく関係してくるのは次の士業の独占業務です。
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
順番に説明します。
弁護士の独占業務
相続業務では、相続人間で争いになってしまうことがあります。
紛争に発展した場合、相続人の代わりに相手方と交渉を行えるのは「弁護士」の資格を持つものだけです。
行政書士が、交渉するのは非弁行為となります。
当然、違法です。
紛争に発展してしまったにもかかわらず、責任感から争いを何とかしようと交渉したり仲裁しようとしたりして、業際問題になってしまうケースもあるので注意が必要です。
司法書士の独占業務
相続業務では、被相続人が土地や建物を所有していることが多くあります。なので、その不動産の名義を変更するための手続きが必要になります。
不動産登記の手続きの代理や相談は、司法書士の独占業務です。
行政書士が依頼人に代わって不動産登記を申請するのは違法です。
ちなみに、遺言執行者としてなら手続きをすることが可能です。ただ、この場合は、「行政書士」としてではなく「当事者」として手続きをすることになります。
税理士の独占業務
相続では、一定以上の財産があると相続税の申告が必要になります。また、被相続人が個人事業主の場合「準確定申告」が必要になることがあります。
こうした税務書類の作成や申告は、税理士の資格を持つものしかできません。
行政書士をやっていると、依頼人から個別具体的な税金の相談をされることがありますが、その場合は独占業務の説明をして税理士を紹介するようにしましょう。